WordPressのAIコネクタを、日本語記事で実際に試してみた

前回、WordPress 7の「AIコネクタ」で何ができて、どこに壁があり、どこにお金がかかるのかを、公開情報と海外レビューをもとに整理しました。そのとき私たちは「本番にいきなり入れず、まず手元の検証環境で、少額の上限を設定したうえで日本語記事に対して試す」とお伝えしました。今回は、その約束どおり実際に手を動かした結果をご報告します。

何を、どう試したか

検証は本番とは切り離したローカル環境(WordPress 7.0.2)で行いました。公式の「AI」プラグインと、Claude(Anthropic)・Gemini(Google)・GPT(OpenAI)の3社の接続プラグインを入れ、それぞれのAPIキーを「設定 → コネクタ」に登録します。前回強調した安全策どおり、キーを登録する前に各社の管理画面で使用上限を設定しました。

試したのは、編集画面で使える主要なテキスト機能です。タイトル案の生成、抜粋の作成、要約、カテゴリーの提案、タグの提案、文章の言い換え、SEO用のメタディスクリプション、そして画像の代替テキスト(alt)。テスト用に、長めの解説記事・短いお知らせ・技術寄りの記事という3パターンの日本語下書きを用意し、同じ記事に対して3社の出力を並べて比べました。

結論:日本語でも、主要機能はしっかり動く

まず結論から言うと、設定さえ通れば、日本語のコンテンツに対して主要なテキスト機能は3社ともすべて実用レベルで動きました。タイトルも抜粋も要約も、内容に即した自然な日本語で返ってきます。

たとえば「中小企業がAI導入で失敗しないための3つの視点」という解説記事に対しては、次のようなタイトル案が出ました。

  • Claude:「中小企業がAIツール導入で失敗しないための三つの視点」
  • GPT:「中小企業のAIツール導入で失敗しない3つの視点」
  • Gemini:「中小企業のAI導入で失敗しないための3つの視点:目的・役割・ルールを明確に」

カテゴリー提案も的確でした。あらかじめ用意した「経営・コンサルティング」「IT・システム」といった既存カテゴリーの中から、記事内容に合うものを信頼度つきで選んできます。技術寄りの記事では、きちんと「WordPress」「IT・システム」を選び分けました。ここは、記事が増えてきたサイトで地味に効いてくる機能だと感じます。

会社ごとに「性格」が違う

3社を並べて比べると、それぞれの個性が見えてきました。

速さでは、GPT(OpenAI)が体感でいちばん速く、多くの機能で1〜2秒ほどで返ってきます。Claude(Anthropic)はその中間、Gemini(Google)は同じ処理に数秒〜十数秒かかり、待ち時間は長めでした。

出力の傾向にも違いがあります。Geminiは説明的で情報を盛り込む傾向、GPTは簡潔にまとめる傾向、Claudeはその中間で元の文章の言葉づかいに忠実な印象でした。たとえばSEO用のメタディスクリプションでは、Geminiが狙ったように150字ちょうどに寄せてきたのに対し、GPTは57字、Claudeは67字と短め。文章の言い換えでも、Geminiは語彙を大きく入れ替えるのに対し、GPTとClaudeは元のトーンを保ったまま整える、という差が出ました。どれが良い・悪いではなく、用途に応じて選ぶ・使い分ける対象だと考えています。

実際に試したからこそ分かった、2つの落とし穴

数字や品質以上に、実地で確かめる価値があったのは次の2点です。

1つ目は、「上限を設定した」と「使える」は別だということ。 最初の検証で、Claude(Anthropic)だけはすべての呼び出しが「残高が不足しています」というエラーで止まりました。キー自体は有効で、画面上も「接続済み」と表示されます。それでも動かない。原因は、使用上限を設定しても、事前にクレジットを購入して残高を用意していなかったことでした。前回「唯一しっかり効く安全策は上限設定」とお伝えしましたが、上限設定は“使いすぎを止める”仕組みであって、“使い始めるための残高”はまた別に必要——という、実際に触らなければ気づきにくい順番の話です。残高を用意し直したところ、Claudeも問題なく全機能が動き、無事に3社の比較がそろいました。

2つ目は、画像の代替テキストが英語で返ってきたこと。 オフィスの写真に対して、3社とも的確な説明を生成しましたが、その中身はいずれも英語でした(例:「Coworkers reviewing charts on a whiteboard in a bright office」)。特定の会社の癖ではなく、3社に共通して起きた点なので、機能そのものの既定の振る舞いだと考えられます。代替テキストは、目の不自由な方が読み上げで使う、日本語サイトの大切な要素です。英語のまま入れてしまうと本来の役目を果たしません。日本語で出すには、追加の指示を与えるか、後から手直しする一手間が要る——これも、実際に日本語記事で試したからこそ見えた注意点でした。

まとめ

「鍵を挿せば夢がかなう」ではなく、「何ができて、どこに壁があり、どこにお金がかかるのか」を先に見極める。前回そう書きましたが、今回はさらに一歩進めて、「実際に自分の言語・自分の記事で動かしてみると、資料には載っていない小さな段差が見えてくる」ことを確認できました。

残高の話も、altが英語で返る話も、カタログを読んでいるだけでは出てこない気づきです。新しい機能ほど、こうした実地の確認が効いてきます。次は、この検証で見えた「一手間」をどう自動で埋めるか——たとえば日本語のaltを標準にする、といった調整も含めて、引き続きこのシリーズでお伝えしていきます。